前回の記事で、不動産クラウドファンディング(不特法クラウドファンディング)のメリットと始め方をご紹介しました。
実際に口座を開設し、いよいよ案件に投資を始めたあなた。ここからは、安定して利益を受け取り、安全に資金を回収するために、投資期間中に注意すべきポイントを解説します。
1. 投資期間中にやるべきこと:分配金と運用状況のチェック
不動産クラウドファンディングは基本的にプロに運用をお任せするため、株式のように日々価格をチェックする必要はありませんが、完全に放置して良いわけではありません。
① 定期的な「分配金」の確認
案件に投資すると、通常は毎月または数ヶ月に一度、「分配金」が指定の口座に振り込まれます。
- 何を確認する?:分配金が予定通りに入金されているか確認しましょう。もし入金が遅れたり、金額が少なかったりした場合は、運営会社からの連絡やサイト上の「運用報告」を確認し、何らかの問題が発生していないかチェックが必要です。
② 運用報告書の確認
案件の運用期間中は、定期的に不動産会社から運用報告書が発行されます。
- 何を確認する?:報告書には、家賃収入の状況、経費、不動産市場の状況などが記載されています。特に利回りに影響を与えるような重要な変更(例:空室の長期化、大規模修繕の実施)がないか、目を通すようにしましょう。
2. 覚えておきたい「出口」の戦略と注意点
不動産クラウドファンディングは、運用期間が満了すると、出資した元本が戻ってくる(償還される)のが一般的です。この「出口」のフェーズで注意すべきことがあります。
償還(しょうかん)とは?
償還とは、案件の運用が終わり、投資家に元本が返還されることを指します。投資の最終目標は、この償還時に元本と利益を無事に手元に戻すことです。
注意点:償還時期のズレ(期間延長)
ほとんどの場合、予定通りに償還されますが、以下のような理由で償還時期が延長される可能性があります。
- 売却の遅れ:予定していた運用期間終了時に不動産を売却できなかった場合。
- 大規模修繕の必要性:運用中に予期せぬ修繕が必要になった場合。
延長の可能性がある場合は、運営会社から連絡があります。投資した資金はその間も引き出せないため、「この資金はしばらく使わない」という余裕を持っておくことが重要です。
3. 税金について知っておこう
投資で利益が出たら、最後に忘れてはいけないのが税金です。
不動産クラウドファンディングで得た利益(分配金)は、「雑所得(ざつしょとく)」として課税の対象になります。
知っておくべきポイント
| 分配金を受け取るとき | 確定申告が必要な場合 |
| 源泉徴収されている:分配金を受け取る際、**約20%**が所得税・住民税としてすでに差し引かれています。 | 給与所得者:給与以外の所得(雑所得など)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。 |
| 税金の計算:分配金の金額と、すでに引かれた源泉徴収額が記された**「支払調書」**が運営会社から発行されます。 | 個人事業主など:給与所得者でない方は、分配金の所得も含めて確定申告が必要です。 |
確定申告は少し複雑に感じるかもしれませんが、投資で得た利益を正しく申告することは投資家の義務です。税金に関する情報は毎年変わる可能性があるため、迷ったら税理士や税務署に相談するようにしましょう。
まとめ
不動産クラウドファンディングは、手軽に始められるだけでなく、運用中もプロが管理してくれるため、比較的安心感の高い投資です。
しかし、「分配金の確認」「償還時の注意点」、そして「税金」の3つをしっかり把握しておくことで、より賢く、安定した資産運用が可能になります。


